「宇宙人じゃないよマダコだよ」マダコは実はすごいヤツだった

魚でもないが、よく釣りターゲットになっているタコとイカ。どちらも食べる機会が多いですが、特にマダコは実はスゴイ才能の持ち主だったんです。その生態をあらためてまとめてみました。

どうも、編集部のヤマケイです。
今回のテーマは「マダコ(真蛸)」です。

「タコ(オクトパス:Octopus))」と一言でいっても、世界全体では約200種、日本近海だけでも50種類以上、生息しているようです(※1)。テレビで猛毒を持つ「ヒョウモンダコ」がニュースになったり、深海性の「メンダコ」がカワイイタコとして紹介されていたりしますね。

(参考/※1:せとうちネット(環境省))

一般的に「タコ」と言ったら「マダコ」を指す場合が多いですね。たこ焼きにタコ飯にから揚げ、お刺身に酢の物などなど。美味しい調理法もいっぱいあります。明石(兵庫県)や大原(千葉県)や三原(広島県)など、日本各地にブランドタコがあり、その多くが「マダコ」です。釣って帰れば家族も大喜び間違いなしの美味しいターゲットなのです!

マダコはどこに住んでいるの?

さてマダコですが、東北以南の全国沿岸(沖縄除く)に広く分布しています。大型のものは体長は60~80cm。比較的水深が浅く、潮通りの良い岩礁帯やテトラポッド、ゴロタ場などのゴツゴツしているところが格好の住処ですが、砂利底で海藻が生い茂る場所にもよく生息しています。マダコは真水を嫌うので、河口付近にはあまり生息していません。

マダコのとってもグルメな食生活!

マダコは夜行性で、イセエビやカニなどの甲殻類、アサリなどの二枚貝などを好んで食べています。結構良いものを食べてますね(笑)。かなりの大食漢で、自分の縄張りに入ってきた生物には必ず反応します。時には泳いでいる魚を捕まえて食べることも! かなりのハンターなんですね。

性格はワイルドかつ繊細で頭脳派?

マダコは獰猛でとても縄張り意識が強いです。そして、とてもとてもキレイ好き。自分の巣穴をキレイにすることにかなり執着するらしい(笑)。汚れた蛸壺にマダコは入らないので、漁師さんは蛸壺を丹念に洗うんですって。また、縄張り意識が強く、テリトリーに入ってきたマダコと喧嘩になることも。蛸壺漁の壷の間隔が約10mごとらしいので、マダコの縄張りは約10mってことですかね?
また、頭が大変良く、頭脳派なんですって。エサが入ったビンのフタを開けてしまったり、環境に合わせて体色を自在に変化させ、それを記憶しているって凄いヤツです。

マダコの生涯

マダコの寿命は1~2年ほど。メスダコは春になると房状の卵を10万個以上産みます。卵を産んだメスダコは何も食べずに卵を守り、稚ダコが孵化(ハッチアウト)するころには力尽き死んでしまうそうです。なんか悲しいですね…。

ちなみにオス(雄)とメス(雌)の判別は、足の吸盤を見れば分かります。オスは足の付け根付近の吸盤の大きさが不揃いで、同じ大きさの吸盤がキレイに並んでいるのはメスになります。

マダコの足の吸盤の秘密

マダコの足には、あの特徴的な吸盤がついていますね。大型のマダコだと1本の足に100個以上の超強力吸盤を持っていて、万が一、腕に巻きつかれると…。吸着力スゴイです。腕がアザだらけになってます(泣)。※絶対に真似しないでください。
その強力な吸盤を使って貝や石を動かして住処作りしたり、エサを捕獲したりするわけですが、この吸盤の性能を維持するために脱皮を繰り返し、常に最高の吸盤になっているんですって。メンテナンスも怠りません(笑)。

マダコ最大の敵はヤツだった…!

頭脳派で最強のハンターと名高いマダコですが、天敵はいるのでしょうか?
最大の天敵は「ウツボ」です。エイやサメも天敵ですが、生息域が若干違います。その点、ウツボはマダコの生息域とほぼ同じなので、遭遇する確率も高いハズ。ウツボも獰猛で有名ですね。あの鋭い牙でダイビングの人を襲うこともあるほどです。
マダコはウツボとの戦いで足を切られてしまうこも…。ウツボに切られてしまった足は、なんと再生するそうです! 足がないマダコが釣れた場合は、ウツボと一戦交えた勇者かも(笑)。

似ているが同じものにあらず「タコとイカ」

タコに近い生物がいますね。そう、イカ(烏賊)です。タコもイカも同じ軟体動物(無脊椎動物)ですが、どちらも「貝」から進化した生物なんです。イカは二枚貝、タコは巻貝から進化したといわれています。
イカもタコも軟体動物で変わったカタチをしていますが、実は頭と思われている部分が胴体で、眼の付近が頭なんです。「頭足類」っていうんですって。なんだか不思議な生物ですね~。
よく間違われるのが足の数。タコの足は8本。イカも足が8本ですが、触腕という腕が別に2本あります。なので合計10本です(例外のイカもいるようですが…)。
ちなみに「足」と呼んでいる人が多いと思いますが、生物学的には「腕」なんだそう。まぁ、そこは一般的に足で通用していると思うので…足でいいと思いますよ。ハイ。

タコは足(腕)が8本
イカは足(腕)が8本と触腕が2本

と、覚えておけば、ほぼ間違いないでしょう(笑)

イカスミとタコスミ。実はこんなに違う!

タコもイカも天敵から逃れるために墨を吐きますが、イカはねっとりした墨を吐いて身代わりを演出し、敵を惑わせるのに対して、マダコの墨はさらっとしていて煙幕のように広がり、敵の目から逃れるという違いがあります。イカの墨は粘りがあるので、手や洋服に付くと落とすのが大変ですね。よくアオリイカに 服を墨だらけにされましたよ。マダコの墨は吐き出しても量が少なく、さらっとしているので落としやすいです。
また、イカスミは料理で使われますが、イカスミは墨袋が取り出しやすく、量も多いという事情からだそうです。頑張ってたくさん釣ればタコスミパスタもできるかも。タコスミの味は意外と美味しいらしいですよ。今度試して見なければ(笑)。

あれっ、タコの数え方って…?

そういえば、イカを数えるとき「1杯(ハイ)」って数えますよね? タコはどうなんでしょう? ふむふむ、調べてみましたが、「匹」で数えている人が多いですね。タコもイカ同様「杯」でもいいようです。生きている時は「匹」で、鮮魚店に並ぶと「杯」となるようです。

さぁ、どうでしたか? 少しタコに興味をもってもらえましたか? タコってよく食べる食材なのに、謎多き生物ですね~。マダコは食べても美味しいですし、釣りターゲットとしてもなかなかオモシロイですよ!